◆ 絵本ができあがるまで

<作者・山内麻美より>

 

おはなしがうまれた夜

このお話は、私が男の子の双子を出産してすぐ、昼夜の区別がまだつかない二人を夜通しあやしていたときに考えたものです。

 

ミルクを飲んで、胸の中でようやく寝付いた小さな息子をベビーベッドに戻すとき、慎重に両手で包んで「そーっと そっと」と心の中で繰り返していました。

 

そのとき、「そーっと そっと」の響きには優しさが溢れていることに気づき、この言葉を繰り返し聴きながら眠りにつける絵本を作りたいと思いつきました。

 

おはなしを絵本というカタチに

双子が3歳になり、少しだけ余裕ができた頃、私は『そーっと そっと』のお話を絵本にしたいと思い立ちました。そのとき、画家のさなえさんの絵が自然と頭に浮かんできました。

 

南国マレーシアで家族とともに自分らしい暮らしを営むさなえさんの絵は、色彩豊かで包容力があり、このお話にぴったりなはず!

 

その想いとともに、数日後に私は、シンガポールからクアラルンプールまで6時間の長距離バスに乗り込み、さなえさんに会いに行きました。

(さなえさんはお友達のお友達で、何度かお会いしたことはあるものの、突然私が会いに行きたいと連絡をしたので、さぞ驚かれたことと思います)

まだ幼い子どもたちを置いての1泊旅行。少し勇気がいりましたが、さなえさんのご自宅にて素敵な作品に囲まれて、自家製パンや手摘みのバタフライピー茶をいただきながら絵本の構想を話し合うことができました。

さなえさんのお宅にはガレージにもバルコニーにも植物がたくさん。おうちの周りのさなえさんの定番散歩コースをゆっくり1時間かけて歩きながら、自分の暮らしがいかに忙しないものであったかに気づかされました。

二人の育児をし、マレーシア人のご主人の家族も大切にしながらも、作品づくりに没頭しているさなえさん。忙しいはずなのにどこかゆったり見えるのはマレーシアの風土の恩恵? 

 

それをとても不思議に感じるとともに、さなえさんの作品全体を包む温かさや、伸びやかな魅力に、あらためて惚れ直しました。

マレーシアの巨匠、ユソフ・ガジャさんに出会う

 

この旅では、さなえさんのつながりのおかげで、マレーシアを代表する絵本作家ユソフ・ガジャさんのアトリエを訪ねることもできました。

 

マレーシアではマクドナルドのハッピーミールのおまけ絵本に採用されるなど、国民的人気を誇るユソフさん。その人柄はとても寛容で、私たちのような初めて訪れる者も大らかに招き入れ、作品のアドバイスをくださいました。

 

そしてなんと、話はとんとん拍子に進み、奥さまのザキア夫人が携わる絵本専門の出版社Oyez!Books(www.oyezbookstore.com)にて出版していただけることになったのでした!

 

絵本の出版に向けて

二度目のクアラルンプールは約半年後。(ちなみに今回は飛行機を選択。フライト時間約50分、チケットはわずか3,000円足らず)

 

完成した絵をユソフさんに見せ、再びアドバイスを請いました。

そこで、今から2週間で見本誌(モックアップ)を仕上げることができたら、Oyez!Booksが参加する世界的に有名な「フランクフルトブックフェア」に出してあげると言われ、超急ピッチで作業をすることに。

さなえさんは連日深夜まで絵の描き直しを行い、そのスキャンデータをもとにシンガポールでは編集作業が行われました。デザインは、奥野亜幾子さんが素敵に仕上げてくれました。

そして、できたてホヤホヤ湯気が出そうなモックアップ版はフランクフルトへ旅立っていきました。

あとは発行の日を待つばかり。けれどもこの後、思わぬ事態が!

世界的な新型コロナウィルスの感染拡大で、出版が遅れに遅れてしまったのです。果報は寝て待ての日々。ひたすら待つこと1年以上、ついに2021年7月に『そーっと そっと』は絵本として産声を上げることができました。

ご協力してくださった多くの皆さまに心から感謝申し上げます。

さなえさんの手によって美しく描かれたマレーの森の動物や植物たち。オラウータンやマレーバクなど、実際に動物園で見たことのあるお子さんは、きっとその記憶とともに楽しく読めると思います。

 

ちなみにマレー語でフクロウは「burung hantu」、すなわち「オバケ鳥」という意味があることから、フクロウはオバケとして登場しています。暗闇にあらわれるフクロウのオバケにきっとお子さんの目は釘付けになることでしょう。

 

たくさんのお子さんの耳に、優しいママやパパの「そーっと そっと」の声が届くことを祈っております。

◆ 本のレビュー

Rieさん

「そーっとそっと」という言葉の中にある、優しさ、思いやり、ふんわり包み込むようなあたたかな愛情。そんなやさしいリズムが絵本の中に流れていて、読んでいるだけで気持ちがゆったり、おだやかになります。そして色とりどりの南国の植物や動物の絵が、細部までかわいくてウットリ♪思わず飾りたくなってしまいます!短いけれどその先の世界が目に浮かぶような文章と挿し絵が、読む人の想像力を豊かにしてくれる、そんな素敵な絵本です!

Erinaさん

本を手にした時のぬくもり、その第一印象の通り読み終えてとても温かな気持ちになりました。夜眠る前に娘2人とページをめくり、一緒に「そーっと、そっと」と声をひそめて読むあの心地よさ。なんだかとても幸せでした。マヤが眠りに落ち夢の世界の扉が開く瞬間の穏やかな空気が、特に好きです。子供の頃、母にそっと布団をかけてもらったことを思い出して幸せな気持ちになれました。色鮮やかで優しいタッチの動物は見ていてとても楽しく、1日の終わりに親子で穏やかな気持ちになれる一冊です。

Toshikoさん

「そーっとそっと」の絵本は、娘のお気に入り絵本に追加されました。

可愛い動物たちが気に入ったようです。

フクロウのオバケは、

「デコピンでやっつける!」

と言っています。

優しい絵本をありがとう!

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